あまり仲良くない子と交換日記をしていた話。
突然思い出した。私は、あまり仲良くない子と交換日記をしていた。それは小学校3・4年生の頃だった。相手は、白い肌に茶色いそばかすと茶色い目をした細身で長身の水色のランドセルを背負った女の子と、茶色い肌にチリチリの黒髪をしたスポーツ万能そうながっしり体型の赤色のランドセルを背負った女の子。交換日記は水色の方が用意した、青い空に虹色のシャボン玉が飛んでいるものだった。内容は覚えていない。おそらく、その交換日記に誘導されるがままに、その瞬間に思い出した「今日のニュース」聞くこともないのに「しつもんコーナー」本当のことは書かない「ひみつのコーナー」を適当に書いていただろう。書くネタが無くなってからは、省略してフリースペースだけ書いていたことは覚えている。
なぜ、私はこの二人と交換日記をしようと思ったのだろう?
10年経って、今一度考えてみよう。書き出しているうちに、思い出すかもしれない。
- 交換日記が流行っていたから、即席でグループを作った
- 他人の考えていることを知りたかったから
- 他人の字を見たかったから
- 二人のランドセルが可愛かったから
- 二人と仲良くなりたかったから
2項目目以降から、少し変態じみていることが分かる。これは小学生を誘拐した犯人の犯行理由だ。ただ、私は今も当時も『他人のことが気になる症候群』で、同じ年齢で同じ学習環境なのに「どうしてここまで私と違うのだろう」と思っていた。「どうして関西人なのに『エンタの神様』が好きなのだろう」「どうして同じペンを使っているのに字が違うのだろう」「どうしてこの色のランドセルを選んだんだろう」「どうして体型が違うのだろう」。この疑問の解決することと交換日記が流行っていること、私の欲求を満たすために、交換日記を不思議な関係の3人で始めたのだ。
私、水色の方が好きだったのかもしれない。
書き出して、思い出した。私、水色の方が好きだった。この「好き」は小学生における好きだ。まず「水色のランドセル」を選ぶセンスが好きだった。男の子の色と女の子の色のちょうど中間である水色が彼女をとても表していた。髪型はショートカットなのにボーイッシュな感じはしないし、長身だから私との目線が男の子っぽいのに細身だから私より女の子っぽかった。ジェンダーレスなところが、私には物珍しくてキラキラして見えていた。そして、字が好きだった。彼女の字はキレイで可愛かった。習字のキレイではなく整っているキレイで、丸文字過ぎない丸みの可愛さだ。一度彼女が文房具を忘れて私の鉛筆を貸したときに書いていた字が、私の鉛筆なのに私の字にはならず、彼女の字になったことが不思議で、それから彼女が気になった。彼女の字を真似するようになった。そのためにサンプルが欲しかった。だから、私は彼女に交換日記をしようと持ち掛けたのだ。ただ、この話を彼女に持ち掛けたときに赤色の方も近くいた。なし崩し的に3人で始めることになったのだ。
その後…
先述した通り、私は書くネタが無くなった。そして、私の汚くて嫌いな字を彼女に見せたくなくて、交換日記を回すのを止めてしまった。その後、私の家庭が急変し転校が決まったりと他人に構っているヒマが無くなり、止めていることをうやむやにした。結局、彼女の字のサンプルをほとんど採取できなかった。私は汚くて嫌いな字のまま転校した。10年経った今、私は彼女の字になりたいと強く願う。彼女の住所調べて手紙でも送ってみようかな。